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ライターは得意分野がなくてもいい | もの書き屋

ライターは得意分野がなくてもいい

プロが語るライター業

ライターというのは多くの場合、何らかの得意分野を持っています。持っているというより、標榜しています。お医者の「標榜科」のようなもので「私はこの分野が得意です」という分野を、看板として上げているわけです。

まあお医者の場合は、医科と歯科とでは隔たりが大きすぎますが、学校で習う範囲の基礎的な医学知識は身につけています。外科の先生だからといって内科の知識がまったくないわけではありません。もちろん外科医院に行って「先生、なんだか腹が痛いんです」なんて言えば「そりゃ内科に行ったほうがいいでしょう」と言われて終わりでしょう。そこは「餅は餅屋」というわけです。それでも過疎地の診療所とか船医とかになれば、外科だろうが内科だろうが産科だろうが、何でも診なくちゃいけないのですから、お医者もなかなか大変な商売ではあります。

ライターの場合も、得意分野を特定した「○○ライター」という人々が存在します。というより、そうしたケースのほうが多いかもしれません。グルメ、ゲーム、芸能、政治、経済。さらに車やバイク、ファッション、コスメ、医療、美容、IT、家電…ありとあらゆる分野に「○○ライター」が存在し、仕事をしています。前記事でお話しした「仕事のフィールド」が、まさにこれです。

しかし、こうした得意分野を持たず、「何でも書く」というやり方もあります。私がそうでした。

他のライターにはそうそうひけをとらない経験なり知識なりがあれば、得意分野を固定するのも良い選択ですが、そうでないなら「何でも書きます」という姿勢で仕事にあたるのも良いと思うのです。変に特定分野に特化しても、それだけの文章を書けなければ、次の仕事は望めません。ことに「これからライターになりたい」という、執筆業の入口に立っている人であれば、なおさらです。まずは入ってくる仕事をこなしてみて、ライター業界を実地で覚えていくのも良いのではと思います。自分の得意分野を絞っていくのは、それからでも遅くはありません。

前の記事で私は「やりたいことをやるのがいちばん」と言いました。しかし、あなたの仕事に価値を見出し、ギャラという名の対価を払ってくれる人がいるかどうかは別問題です。右も左も分からない…という状況にあるうちは、目指すべき目標を見据えつつ、今できることを手がけていくのが現実的な正解かもしれません。

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